実際の事件から考えてみる

盗撮された事件から考えてみる

自分の生活が筒抜けになってしまうというほど、恐ろしいものはないだろう。盗撮の被害に会った人の中には自分の生活行動が常に撮影されてしまい、あまつさえその画像がインターネットを介した電子世界へと流出してしまうという事態を招くこともある。そのようなことになればどうなるかだ、芸能人などの公的に認知されていない一般人が不特定多数と表現するには足りないくらいの膨大な人間に、自分の顔と普段の行動が曝されてしまうことになると考えただけで寒気がする。

実際に被害を受けたとある女性についての例を参考にして見てみよう。今まで平凡に暮らしていた女性に突如として降って来たそれは、まさに天災と呼んでも遜色ない事件だった。ある日その女性は友人から、女性と思われる人に対しての思いを綴ったサイトがあり、そこでは本人と思われる画像も添付されているというのだ。友人からの指摘を受けたので早速調べてみると、まさにそれは自分だということが確認された。サイトはもちろん、自分がまさか撮影されているなどとは思わなかった女性はすぐさま狂気の沙汰に対して恐怖することになる。どうしてこんな事をするのか、何が目的なのかなど分からない事だらけだからだ。

この被害例で一番恐ろしいのは、そのサイトは毎日更新され、さらにそこに掲載されている画像が毎日の行動を盗撮したものを挙げているからだ。自分の生活スタイルが完全に筒抜けになっている、そのタイミングを見計らって撮影されたという事実だけでも寒気がする。このままにはしておくわけにはいかないので、調査会社に依頼して犯人を特定するための割り出しが始まると、不審な人間が一人出てきたのだ。だが女性は自分とは直接的な繋がりはないと見ていたが、良く調べてみるとその不審な人間は以前から女性が帰宅前によるコンビニで働いていたことが判明した。

女性に対して好意を抱いたものの表に出すことが出来ず、影ながらに見ることに徹してしまい、募る思いと共に犯行に及んだという。その後の解決策として、犯人が引っ越すこと、そして謝罪文と共に二度と女性に近づかないことを条件にして、この問題は警察に被害届を出さないで収束することになった。

しかしその後女性は精神的ストレスから、誰かに付けられているのではという強迫観念にとらわれるようになってしまい、心療内科に通う日々となってしまったというのです。平和的に解決はしたものの、女性の生活を崩壊に導いてしまったことに変わりはない。盗撮された側が蒙る心の傷ほど、深く抉られてしまうことになる。

盗撮とは少し違うが

盗撮をされることで自分の顔などが悪用されることになる、被害の例としては主にこのようなところだろう。だからこそインターネットなどで不用意に写真などを添付するべきではないと言われている。それでもいまだに危険性を理解していない人もいるので、メディアリテラテシーという視点で考えると今後もそのことについての危険を唱えていかなければならない。

盗撮とは少し違う例だが、筆者も夜の電車に乗っている時に明らかにおかしいだろうということをしている人を見かけたことがある。満員電車の中、筆者も降車予定の駅に着くのを待ちながら携帯をいじっている時にふと周りの様子を見渡したとき、座席に座ってB5サイズのスケッチブックと鉛筆を持って何かを描いている男性がいた。熱心に何かを描いているなぁと見ていると、そのノートの中身が見れたので興味本位ではあったが遠目から見てみた。その中身を見て絶句することになる、なんとその男性はつり革を掴んで立っている人達の顔を一人ずつ描写していたのだ。

盗撮とは違うかもしれないが、描かれている人達はまさか自分の顔を勝手にスケッチされているなど夢に思うまい。その男性は男女構わず、席から見れる範囲で向かい合っている人々の顔を無表情且つ、熱心にデッサンしていた。しかも無駄にうまいのがさらにドン引きなのだが、そんなことはいい。問題は筆者がその時つり革こそ掴んでいなかったが、その近くに立っており、更にその男性の視界に十分入っていることだった。もしかしたら見られていることに気付いていたかもしれないが、誰も堂々と描いている男性に対して注意などすることもなく、時間だけが過ぎていたので気付かれない程度に男性にデッサンされないように、筆者は身体の向きを変えた。

その後は降車駅について何事もなく降りていったが、出発する電車の窓から見たときには男性はまだ座って誰かを描いていた様に見えた。盗撮とはまた違う話になるが、見ているだけで不快だったのはいうまでもない。何かの仕事をしているのかもしれないが、それでも誰かも分からない人間に自分の顔を描かれていることはたまらなく苦痛ではないだろうか。もしかしたら仕事柄なのかもしれない、けれどこの時ほど盗撮をしている人の気持ちというものがどんなものなのか悟った瞬間だったかもしれない。

盗撮は盗聴とセットで行われることが多い

盗撮被害について考えていくと、必ずといっていいほど盗聴問題と共に浮かび上がってくる。カメラだけでも音声は拾うことは出来るが、撮影されている範囲だけということもある。カメラを設置した部屋以外の音声などを聞きたいと感じた際には、盗聴器と共に使用することが多いと考えた方がいい。実際の被害例を見ると、盗聴器と盗撮カメラ両方を仕掛けられていることもあれば、盗撮カメラだけという場合もあり、さらに盗聴器だけを仕込んでいることもある。手口に関しても様々なだが、盗聴器を用いたプライバシーの侵害が一番深刻な問題かもしれない。

被害の例を見ると、盗撮と盗聴では被害にあう場所にも特徴があることに気付くだろうか。盗聴器も確かに鞄などに忍ばせてある被害もあるが、主に自宅などのプライベートな空間で設置されているケースが一番多いと見られる。盗撮も確かにプライベートな空間を撮影しているわけだが、どちらかといえば不特定多数の人間がいる外出先で犯行に及ぶ例の方が多いのではないだろうか。今では平然とそうした盗聴器やカメラを気軽に買う事ができる時代となっている、いつから何処にいっても気の休まらない世界になってしまったのだろうか。そう考えると機械化することで発展したと考えると、悪い意味での副産物なのかもしれない。

監視カメラから考える盗撮問題について