映画泥棒という作品を通じて

映画盗撮を知ってもらうために

映画盗撮は犯罪である、いつしかそう呼ばれるようになりましたがあまり映画を見に行かない筆者からすれば、正直縁のない話だ。そもそも映画を見に行くことがあったとしても1年に1度劇場に足を運ぶかどうか、というような頻度でしか訪れないほど映画を見る機会がない。よほど劇場で見たいと感じたものなら重い腰を挙げて観賞しに行くが、そうでないと滅多に劇場によることもない。そのため、この法案が可決されて、正式に施行されたときも何処か他人事のように見ていた気がする。

ただ実際問題として、それまで純粋に映画を盗撮することなんて考えたこともないという人からすれば、あまり気にしなかった問題ではないだろうか。それまでどおり上映前に携帯電話を切る、機材を劇場内に持ち込まないようにする、この2点を気をつけているだけでいい。そもそも映画を見た後にインターネットのサイトなどで映画の感想等を書く人がいる、その中には物語の核心に迫った内容を平然と書いている人もいることを考えると、むしろ盗撮よりも本質的な面で問題ではないだろうか。

法律が施行されてもそれまで平穏無事に過ごしてきた人からすれば、この法律に対して興味を持たない可能性もある、それはそれで問題だろう、そのため、業界は一つのマナーCMを作成することになるが、これが後々劇場観覧前に流れることが定番となり、更に一部で絶大な人気を誇ることになるなど、ある意味映画盗撮に関する法案を世に知らせることになった立役者的な作品なのが、この『NO MORE 映画泥棒』だ。

カメラ男とパトランプ男

これは劇場公開前、今でも必ず作品が始まる直前に流れるマナーCMとなっているが、この作品が始まったのも丁度法律が施行される2ヶ月前からキャンペーンの一貫として、啓発する意味合いで劇場で流れ始めたことから始まった。作品の特徴としては登場してくる2名が、このCMにおいて最もその存在感を大きくしている。その登場人物が、もはや誰もが知っていると言っても良いというくらいなまでに認知度を高めている『カメラ男』と『パトランプ男』だ。そんな二人について簡単に考察してみる。

登場人物について

カメラ男について
CMの中で頭がカメラ、身体は人間の生物が不穏をかもし出す音楽と共に踊りだしてカメラで劇場作品を録画する。『男』と書かれているが、はっきりとした性別ではない可能性も無きにしも非ずと考えておくと、ちょっと面白いかもしれない。映画盗撮において、盗撮をする側となっている。
パトランプ男について
カメラ男が映画盗撮を行っている最中に、突如として現れる警備服姿のパトランプ男。映画盗撮を取り締まる側で、常にカメラ男を御用しているので、劇中ではその検挙率は100%となっている。
新キャラ、女性について
第2シリーズとなる作品で登場するキャラクターで、名前を『ティアラ』という。劇場でカメラ男の撮影を呆然として見て逮捕されるさまを見ながら、後にネットにアップされた作品を違法ダウンロードしたため、パトランプ男に御用となる。

ただの啓発CMだったはずが

このCMはあくまで法律に関する最低限の知識と、そして映画盗撮をしないようにと注意の意を込めて製作された事に変わりはない。そのためこのCMは現在まで2015年まで公開予定と期間限定であることが最初から決められているが、法律の名を広めることに成功はするがこの作品そのものも後にメディアに取り上げられるようになるなど、その話題をさらうことになる。むしろ業界関係者からすれば、啓発CMということもあるためこれほどの反響を呼ぶことになるとは予想はしていなかっただろう。

この作品で最も話題となったのはカメラ男だ、盗撮をしている張本人だが劇中で披露しているダンスがコミカルで、犯罪をしているのに面白すぎると一部でシュールな装いであることがカルト的な人気を呼ぶことになる。メディアもそんな動きを見て商品化やテレビ出演などのオファーなどを出すも、そもそもカメラ男と言う存在のせいで業界にダメージを与えることになったわけであり、いわゆる悪の権化ともいえる存在なのだ。メディアなどに出演してしまうと、どうしても根付かせたかった悪の存在が美化されてしまう可能性もあったことから、商品化などは断り続けていたという。この対応は正解だったが、長くは続かなかった事は予想を超えた展開ではない。

巷で話題となったことでカメラ男を熱演したダンサーがメディアに出演し始めるなどして、その存在感をアピールすることになるが大半は演者には興味はなかった。映画盗撮をする事は犯罪だと唱えるために作られたCMから誕生したカメラ男と、そしてそのカメラ男を捕まえるために日々取り締まりを続けているパトランプ男というキャラクターによって、CMそのものは成功を果たした。それと同時に法律を知ってもらう点でも十分にその意義を全うしていると筆者は考えている。そしてその後、この二人の登場人物がどのように見られていくのか、という点については、オタク業界を知る人ならある程度は理解していると思う。

監視カメラから考える盗撮問題について